「ぬあぁぁぁぁあああ、でもそうだろうなぁ」 今年のM-1グランプリの優勝者が決まった瞬間、思わず肩を落とした。 このあと、今年の優勝者について触れるので、結果を知ってもいい方だけ読んでほしい。 チャンピオンの無邪気で素直な喜びの声が響く。 無情 …
「あの時は表情も違ったね」 友達からのLINEにハッとした。 表情が違うって、どういうことだろう。 自分では自覚がなかった。 たしかに、慣れないことばかりで、気が急いていた。 遊びは無駄なこと、無駄話もしない。 駄目なものは駄目。 無駄なものに埋もれ…
「わかるなぁ」 自分のことを本当にわかってくれる友人の「わかるなぁ」は、どうしてこうも、心に染みるんだろう。 あぁ、よかった、これからも生きていられる。 そうやって安心する。 なんだか、深い深い海の底から、ぷはぁっと顔を出して、ようやく息がで…
「心の中では四六時中ブチ切れていますよ」 「ええっ?!」 謙遜したつもりが、度が過ぎていてドン引かれることがある。 わたしはどうも外面が良いようで、出会ったばかりの人には「怒ることなさそうだよね」と言われることが多い。 そんなことはない。 満員…
「え……」 思わずラブホの前でタバコを吸っていた男性に目を向けた。 彼も困惑しているようだ。 どうしようか。 間違っているのか。 そうなら声をかけた方が親切なんだろうか。 いや、どうやって? それに、もし、もしも、間違っていなかったらどうする。 余…
「世の中は、常識を疑う偏屈な人たちによって変わってきた」と、何かで読んだ。 他の人が「そんなの当たり前だよ」と思い、疑いもしなかったことに、疑問を持つ人。 例えば「外国」もそうだろう。 「海には向こう側がある」と世界で初めて気づいた誰かがいた…
「な、な、な、なんじゃこりゃぁぁあああああ?!!!!」 そう思った瞬間、 「なに、これ……」という声がテレビから聞こえてくる。 そりゃあ、そうでしょう。 やっぱりそうですよね。 そうなりますよね。そう言っちゃいますよね。 なんですか、ありゃあ。 今…
「あなたにはせっかく素敵な友達がいるんだから」 ひさしぶりに連絡をとった妹からのメッセージに思わず、涙がこぼれた。 あぁ、そうだ。 本当にそうだ、と、心から思った。 「わたしが人生で誇りに思うことは、素敵な友達がたくさんいることです。自分には…
「もし、おじいちゃんがもっと長生きしていたら、あいつの人生も、もう少し楽だったんだろうな」 いつの時か、兄が母に言ったという言葉を思い出す。 こどものころ、わたしは、おじいちゃんっ子だった。 と言うよりも、おじいちゃんにしか、心を許していなか…
植松さんは、ブログでいつも怒ってる。 見た目はとても穏やかなのに。 映像で見ると、とても朗らかなのに。 文字で読むと、いつも怒っている。 だけど。 嫌な気持ちにならないのは。 なんだか読んでて、イライラしたりしないのは。 きっとその植松さんの怒り…
「無駄を省かなきゃ」 取り憑かれたようにずっと、そのことばかり考えていた。 行動も、考えも、感情も。 無駄がいっぱあるからうまくいかない。 とにかく無駄さえ省けば、きっとうまくいくんだ。 そう、思っていた。 断捨離、断捨離、断捨離。 そう思って、…
「そんなの当たり前じゃん」っていうことは、当たり前じゃないから。 それを、ぶっ壊すには、インドがいい。 そんな話を聞いてたら、ふと、あの子のことを思い出した。 「え、ぼく? それほんとにぼく? 嘘ぉ〜?!」って笑っていたあの子のことを。 もう10…
昨日はあったかかったなぁ、って思うと今日は寒かったり。 風がビュービューガタガタ吹いてきたり。 この季節。 嫌いじゃないです。 ちょっぴりいつもより眠くなるけれど。 なんだか体も重くなるけれど。 でもやっぱり、嫌いじゃないです。 いえ。 それどこ…
「へっくしょい、ちくしょーぃっ!」 おじさんがくしゃみをすると、わたしは必ず怒られる。理由はふたつだ。 「人のくしゃみで笑うなんて失礼でしょ! やめなさい」 もしくは 「もう、こっちまで我慢できなくなるから、まじでやめて。くくく。ちょっと本気で…
「そういや、わたし……」今日、お客様とお話をしながら、なんだかスルスルといろんなことを思い出した。 たしか、文章を習い始めた頃は、「読んだ人のきもちがあったかくなるような、やさしい物語とか、書けたらいいなぁ」そんなことを思っていた。 ところが…
もう10年が経とうとしている。 当時わたしは、NGOのスタッフとして現地の支援活動の調整役のためにフィリピンで暮らしていた。 その中で出会い仲良くなったのは、5~6歳下の奨学金をもらいながら大学に通う学生たち。 彼らにとってわたしは、いつも口う…
「こういうの見ちゃうとモデルさんの好みで選んじゃうんですよね」 苦笑いしながら答えると、 「みんなそういうもんですよ」と、彼は何でもないかのように答えた。 美容室に行き「今日はどうしますか?」と聞かれるのが苦手だ。 どうしたいのか、自分でもわ…
「10月は出会い運が最強に高まります」 よく当たると言われる占い師さんの本に、そう書いてあった。 どんな出会いが、あるんだろう。 内心、ドキドキ。ワクワク。 ん? 終わりましたね、10月?? でも確かに振り返ってみると、最強でした。 お仕事でも本当に…
「俺だって楽しいしさ、帰りたくないよ」 そう呟いた彼の言葉は、アルコールのにおいが混じっていた。 湿度のせいか、お酒のせいか、妙に蒸し暑い。 彼はそっと肩に手を伸ばし、グッと自分の胸元に引き寄せた。 まるで世界に2人だけしかいないように。 特別…
「でけたなぁ」 「よかったなぁ」 「夢みたいやなぁ」 「ほんまやなぁ」 徳島出身のロックバンド、チャットモンチー。 MCになるとほんわか、ゆんわりな二人なのに、ひとたび演奏が始まると空気が変わる。 えっちゃん(橋本絵莉子)の歌は、やわらかくて伸び…
え?!!! 検索していた手が思わず止まる。 ライティングの授業の課題の記事に、 函館に遊びに行きたくなるような、 そんな記事を書きたいなと思い、 情報を確かめていた時だった。 「北海道の人がむせていたので 「大丈夫?」と聞くと 「変なところに入っ…
台所でネギを切っていた時だ。 「あ…….」 テレビから懐かしいメロディが聞こえてきた。 思わず右手に包丁を持ったままテレビを覗き込む。 「懐かしいなぁ」 鼻歌をうたいながらネギを刻んでいると、自然とぶわっと涙が滲んでくる。 「あはは、あの時ジュース…
「かわいいでしょ〜」 お花が大好きで大好きで仕方がないお花屋さん。 函館山の麓、路面電車が目の前を走るちいさなお店。 お花が大好きでアルバイトをしていたら、 いつの間にかお店を任せられていたという社長さん。 一歩お店の中に入ると、 お花をこころ…
もう10年も前のことになる。 フィリピンで仕事をしていた時、よく日本人の大学生ボランティアの人たちが、困った顔をして助けを求めてきた。 「なんか、なんかこどもたちが、メロンパン、メロンパンって追いかけて来るんですけど!!!!!」 ん? メロンパ…
「アンパンは入れたもんな」 「うん、アンパンは大丈夫」 昨晩の仕事の帰り道。 疲れたなぁーと思い、お惣菜を買いにスーパーへ。 「あ、すみません」 おじいさんとおばあさんが、 カゴを持ったまま悩んで、 パンコーナーとお惣菜コーナーを通せんぼ。 「あ…
「よかったよねぇ、長澤まさみ」 「いや、想像以上によかったね」 現在絶賛公開中の映画『SING /シング』 わたしは二度も劇場に足を運んだ。 しかも、同じ面子で。 なぜなら。 字幕も吹替もどっちも観たい!! はじめに吹替版を観たところ、めちゃくちゃいい…
「知恵つくもんだねぇ」 「ほんと物凄い速さで知恵つくもんだねぇ」 桜の木の下ではしゃぐ3〜4歳児を眺めながら おばあちゃんふたりが呟いている。 一体、あの子達は何をしたんだろうか。 「成長したわね」は褒め言葉だけど、 「知恵つくもんだね」は、純粋…
「ユニクロなんですけど、大丈夫ですか?」 健康診断の受付で、学生さんに何度もそう聞かれた。 ーーいや、メーカーとかどこでもいいけど。 そう思うのをぐっとこらえ、 「柄は入ってないですよね?」 「はい」 「じゃあ大丈夫ですよ」 というやりとりを繰り…
「自分らしい」って、なんだろう。 「普通」って、なんだろう。 文章を書いていると時々悩むことがある。 他の誰でもない自分らしい文章を書きたい。 だけど何か奇抜なことを言うのではなく、 共感を抱いてもらえるような、 「自分のことだ」と思ってもらえ…
ーー痛い 彼女が口を開いた瞬間、胸の奥をギュッと掴まれた。 やわらかく力強い旋律を奏でる彼女の吐息。 スーッと、記憶の奥に入り込む。 この胸の痛みは、いつの痛みなんだろうか。 ギュッと掴まれて、一瞬チクっとして、 じわっと、あったかくなる。 これ…