本日はNew Year's Eve

30代OLが「書き手」になる夢を叶えるドキュメンタリー

そしてまたあっこちゃんのドラムとえっちゃんの声に恋をする

「でけたなぁ」

「よかったなぁ」

 

「夢みたいやなぁ」

「ほんまやなぁ」

 

徳島出身のロックバンド、チャットモンチー

MCになるとほんわか、ゆんわりな二人なのに、ひとたび演奏が始まると空気が変わる。

 

えっちゃん(橋本絵莉子)の歌は、やわらかくて伸びやかなのに芯が強い。

彼女が歌い出すと、もうその世界観に引き込まれてしまう。

女のドロドロした本音みたいなことばや、

心臓をひきちぎられそうな狂おしい想いも、

えっちゃんの声に乗せると、それはちゃんと、音楽になる。

 

元々ベースだったあっこちゃん(福岡晃子)は、ドラムのくみこん(高橋久美子)の脱退を機に、それまで叩いたことのないドラムを始めた。

 

あっこちゃんのドラムは、いつ聴いても心が震える。

 

それはきっと、覚悟が決まっているからだ。

二人でやっていくには、自分がやるしかない。

そうしてでも、チャットモンチーを守っていきたい。

そのためには、自分は変わる。

変わってみせる。

そんな覚悟が決まった姿は、いつ見てもこころを揺さぶられる。

 

初めて彼女達のステージを見たのは、

ちょうど二人体制になって作ったアルバム 『変身』のツアーのときだった。

これまで見た彼女達のステージは4回。

ファンだと言うには、まだまだ知ってることが少ないけれど、

わたしは、一瞬で彼女達の虜になった。

彼女達の音楽やスタイルに惚れ込むのに、

一回の生の演奏は十分すぎるほどだと思う。

 

チャットモンチーのステージは、

いつも全力疾走で駆け抜けていく。

 

三人から二人になって。

あっこちゃんがドラムを叩き、

えっちゃんもベースを持つようになった。

そうかと思えばサポートメンバーを迎え、音域を一気に広げる。

ロックに命を賭けていた二人が、ゆるゆるラップもするようになる。

アイドルのような存在だったえっちゃんが、結婚、妊娠。

 

いろんなことを乗り越えて来た二人。

元徳島での野外フェスも主催し、成功させた。

 

最近ではまた二人体制に戻り、

しかもメカットモンチーに!

ギターかき鳴らしてドラム叩きまくってた二人が、今度はシンセサイザーや打ち込みの音も活用して、また新しい音を作り出す。

 

すごいなぁ。

どこまでもチャレンジし続けて、

進化を止めない。

 

それでいて、驕ることなく、あのまま変わらない。

 

「でけたなぁ」
「よかったなぁ」

 

「夢みたいやなぁ」
「ほんまやなぁ」

 

チャットモンチーでいられることを、

あの二人が一番楽しんでいる。

 

ガールズでもロックができることを証明し、

唯一無二の不動の地位を確立してきたチャットモンチー

 

「できる」と認識されると、

「できない」ことに手を出すことは怖くなる。

 

例えば、書くこともそう。

小説とエッセイと書評と広告記事と。

どれも、書き方は全然違う。

どれかを得意とする人でも、他のことを書いてみると、なぜだか面白くなかったりもする。

これまでの、成功を手放して、出来るかどうかわからないことに挑戦するのは、とても怖い。

 

だけど。

 

チャットモンチーの二人は、挑戦することをやめない。

挑戦する怖さは知っているのに、だ。

 

だから、彼女たちのステージは、

いつも全力疾走の真剣勝負。

慣れに甘んじたり、流すことは決してない。

 

だから、聴いていて心が震えるし、

見ていて心が揺さぶられる。

 

何かが出来るようになったからって、

立ち止まってちゃいけない。

そう思わずにはいられない。

 

二年前には函館出身のロックバンド

GLAYとの対バンライブを実現。

憧れの人との共演に、二人は震えていた。

「嘘みたいや」

「夢やんな」

 

ちいさな二人の少女みたいだった。

音楽が大好きで、故郷が大好きで、

どこに向かっているかもわからないところへ

ただガムシャラに走り抜けて。

気付けば、憧れていた手の届かないはずだった人たちと同じステージの上にいて。

 

そして昨日は、

そんなチャットモンチーに憧れ続けていたというPerfumeとの対バン。

同じように故郷が大好きで、ダンスが大好きで、Perfumeでいられることが嬉しくて仕方がない三人。

そんな彼女達にも、前に進みたいのに進めなくて苦しい時があった。

当時、ホテルの部屋に帰ってはチャットモンチーのアルバムを爆音で鳴らし、踊り続けてたという。

 

時折「苦しいならやめちゃえばいい」

「辛い思いをしてまでやらなくていいよ」という声が聞こえてくることもある。

 

きっとそんなことばを聞きたいときは、

自分が逃げたいときだ。

 

だけど。

よし、と前を向いた時にふと思う。

なんで、苦しいことはいけないことなんだろう。

どうして、辛いことは避けなきゃいけないんだろう。

 

もちろん誰かに傷つけられていたり、

必要もないのに自分自身を痛めつけることは、

しなくていいと思う。

それに自分が頑張りたい気持ちを、他人にまで強制してしまっているなら、それはやめなきゃいけないとも思う。

 

だけど、スルッと上手くできてしまう人もいれば、もがいて苦しまなければ成長できない人もいる。

それを決めるのは、それがわかるのは、本人でしかない。

 

だからきっと、

似ている感覚を持って先を走っている人に

「共鳴」する。

心が震えて、揺さぶられる。

 

あ、自分が行くのはそっちだ、って。

気付くことができる。

 

正直、辛いことや泥臭いことなんて、

なんの苦にもならない。

それよりも、

今いる現状を突破できないことが、

出来るようになるはずのことが、

今すぐできていないことが、悔しい。 

 

やるべきことも、完成形も見えているのに、

そこに体と脳の動きがついてこない。

もどかしくて腹立たしくて、

「ぬぁあっ!!!」とテーブルをひっくり返したくなる。

 

でも、そう言ってるだけでは

何も変わらない。

ただ、やるべきことをやって、

出来るべきことを出来るようになるしかない。

 

「めっちゃおもろいなぁ」

「楽しいなぁ」

 

ただひたすらに音楽が好きで、チャットモンチーでいられることが、嬉しくて仕方がなくて。

 

そんな二人の生き様を、

ステージの下から覗き見をして、

ちょっとエネルギーを分けてもらって、

また日常に帰る。

 

ふとした瞬間に頭の中で聴こえてくるのは

『こころとあたま』

あの曲の疾走感と衝撃と、

雷が落ちてくるような痺れる感覚は、

やはりライブだとより強くなる。

 

こころとあたまと、そして体と。

そのバランスが取れた時、

ぐいっと前に進むことができると思う。

今はそう信じて、走り続けるしかない。

 そうすればきっと、

程よい力加減を掴めるようにもなる。

 

帰りたい大好きな場所と、

保ち続けたい大切な関係と、

永遠に手に入ることのない理想と、

その全てに恋をしている限り、

きっと、どんなに苦しくても

腐ることはないと思うから。

 

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