これぞまさに神回! ボクサー村田諒太選手のインタビューを見て、わたしはヴィクトール・フランクルを読もうと決意した
「いやぁ、今後のボクシングが楽になると思います」
それまで真顔だったボクシング金メダリスト村田諒太選手が微笑んだ瞬間、涙がぶわぁっと込み上げて来た。
「こ、これは神回だ!」
もしもわたしが高校の先生ならば、授業なんてせずに毎回この回のビデオを流したい!
これだけで、人生の大事なことは伝わる。
それくらい、震えた。
そう思える程、濃厚で学び深い1時間だった。
大好きなトーク番組『SWITCH インタビュー 達人達』
年末に録画していたのは、
ボクシングミドル級のロンドン五輪金メダリスト村田諒太選手と、哲学者 萱野稔人さんの対談。
正直、わたしはボクシングに詳しくない。
血が出たり、倒れたりするのは怖いし、応援している選手がKO負けしたりすると、やりきれない気持ちになってしまう。
年末は実家にいて、チャンネルを変えられない状況だったから井岡戦は観たけれど、それ以前のボクシングの記憶と言えば、辰吉対薬師寺の時代だろうか。
やはり、実家でやむなく観ているうちに盛り上がっていた頃だ。
だから、村田選手のことも、顔と名前は知ってはいたが、どんな戦いをしてきた人で、どんな方なのかということは、恥ずかしながら知らなかった。
でも、そんなわたしも、一瞬で心を奪われた。
この人の試合を観てみたい。
この人が影響を受けたという
ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』を読んでみたくて仕方がない。
1時間の番組には、これまで必死で戦ってきた、真剣に考え抜いてきた村田選手の時間が濃厚に映し出されていた。
だからこそ、なんの前情報も興味も持っていなかったわたしが、一瞬で心を奪われ、惹きつけられたのだ。
村田選手は読書家で知られているそうだ。
実際、哲学者との対談でも、自分の考えや思いを率直に言葉で表現していた。
普段から考える習慣が身に付いているからこそ、あれだけ素直に伝わる言葉で話すことができるんだと思う。
そんな村田選手が影響を受けたという一冊。
ヴィクトール・フランクルがドイツ強制収容所での体験を記録した『夜と霧』
な、な、なんて、難しそうな本?!
名前は聞いたことはあるが、明らかにわたしが毛嫌いしそうな、固くて難しそうなイメージの本だ。
それに、その頃のドイツの話は読んでて辛くて苦しくなってしまう。
でも、話を聞いているうちに、読みたくなってくる。
自分の人生に意味を問うのではなく、
人生から与えられた課題にどう応えていくのか。
あぁ、確かに最近そんな話を耳にしたな。
でも「フランクル的心理学」という言葉を聞いた瞬間、
「あ、わかんない。わたしには関係ない」って、思っちゃったやつだな……と思い出す。
すると、それより前の場面で村田選手が話していたエピソードがよみがえってきた。
「言葉は【誰が】言ったかが大事なんだ」と。
高校時代、過ちを犯した村田選手に、
当時の先生がある言葉を伝え、それが心に染みて前に進むことができたという。
その言葉は、実はある本から引用されたもので、
「って、本に書いてあったんだ」と、先生は言ったそうだ。
でも自分でその本を読んでも同じように理解できたとは限らない。
先生が代読してくれたからこそ、心に刺さった。
言葉そのものよりも、
【誰が】言うのか、
人、その人との関係が大事なんだと
村田選手は言う。
わたしにとってその【誰か】が、村田選手になった。
有名な尊敬する著者の方が同じくフランクルの例を出した時、わたしは「わたしには関係ない」と思ってしまった。
気になるなとは思いつつ、難しそうだな、面倒くさそうだなという気持ちに負けてしまった。
でも、村田選手から語られるフランクルの言葉は、わたしの心に突き刺さった。
「あぁ、この本読んでみたい!難しくても挑戦したい!」という思いが、止まらない。
それはきっと、紹介の仕方とか、スキルとかは関係ない。
【誰の】言葉が一番響くのかは、人それぞれなんだと思う。
わたしの場合は、
テレビで村田選手が話した言葉が響いた。
命がけで戦う村田選手が、心に残っているその一冊。
わたしが、見るだけでも辛くて目を逸らしてしまうボクシングの選手が、人生の大事な場面で思い出すフレーズ。
気になる。
知りたい。
わたしも、そこから何かを学びたい!
そんな気持ちが次から次へと溢れてきた。
もちろん対談相手の萱野稔人さんの相槌もかなり効いていたと思う。
村田選手の言葉をひとつひとつ受け止め、丁寧に返す。
二人の対談は、真剣で、熱くて、丁寧で深い。
まるで生き様が滲み出ているかのような会話。
一時間のすべてが心に突き刺さり、染み入った。
わたしは、偉い人にもスゴイ人にもなれないと思っている。
金メダリストや哲学者にもなれない。
それは、なるための努力もしていないし、なりたいと願っていないからだ。
30過ぎると自分の得意なこと不得意なことが、段々見えてくる。
わたしは0から1を生み出すことが、何より苦手だ。
でも、1を5にも10にも発展させることはできる。
自分がすごくはなれなくても、
「この人がスゴイ!」と、語る時の熱量はかなり高い。
そんな、わたしが求められていることとは、なんだろう。
誰かの【誰か】になりたい。
そう、強く思う。
あの人が言ったから、刺さった。
あの人が言ってたから、読みたくなった。
わたし自身に何かを発見したり生み出す力が無いとしても、
誰かに必要な言葉を届けられるなら、
形にはこだわらない。
そもそも、世の中も、わたし自身も誰かの言葉の引用で成り立っている。
本当に自分の言葉で語れるようになるのは、もしかしたらおばあちゃんに、なるころかもしれない。
だとしたら。
それまでは、
わたしは必死で誰かの【誰か】になろうと思う。
必要な言葉を、求めている人に届ける。
必要としている人に届ける為に、書き続ける。
今わたしが求められているのは、
届けてくれる【誰か】になることかもしれない。
そう思えたら、
本を読んだり、映画を観たり、
勉強したり、考えたり、経験したり……
全部が
「しなくちゃいけない」から
「したくて仕方がない」に変わっていく。
そうすることで、
人生から与えられる課題に応えていきたい。
「何のために生きているのか」と自身で問うのではなく、人生からの問いに応えていく。
たった一時間でぐるりと視点が変わった!
「これから」の大きなヒントを掴んだ。
やっぱりテレビは面白い!!
「根っからのテレビっ子です」と言うとひかれることもあるけれど、むしろドンドン押していこうと思う。
テレビは面白い。
こんなにも大切な一時間を創りだしてくれて、ありがとうございますm(__)m
今日から村田選手を応援します。
『夜と霧』も挑戦する!
萱野稔人さんの本も読んでみよう。
あー、のんびりナマケモノなわたしは、
ようやく正月ボケから抜け出して、
エンジンがかかってきたーーー
わーい、
「やらなきゃいけないこと」ではなく、
「やりたくて仕方がないこと」が増えてきたぞー
- 作者: V.E.フランクル,霜山徳爾
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1985/01/22
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 101回
- この商品を含むブログ (121件) を見る