友人からのLINEで気付いた、「これから」を生きていくために大切なこと。
「あの時は表情も違ったね」
友達からのLINEにハッとした。
表情が違うって、どういうことだろう。
自分では自覚がなかった。
たしかに、慣れないことばかりで、気が急いていた。
遊びは無駄なこと、無駄話もしない。
駄目なものは駄目。
無駄なものに埋もれたら、死あるのみ。
そんなことで頭が支配されていた。
だけど、彼女に会うことは心から楽しみにしていたし、
久しぶりに「あー楽しかった!」ってこころから思った日だった。
でも、彼女にとっては違った。
その日のわたしは、攻撃的で気が立っていたらしい。
いつものわたしとは、ことばも、表情も違ったようだった。
--そっかぁ。
ちょっとショックだった。
言われたことじゃない。
変わってしまう自分だった。
自分にはちゃんと軸があると思っていた。
どんな時でも、大切な人を大切にできると思っていた。
でも、それは、ひとりよがりだった。
きっとその時だけじゃないだろう。
これまででも、
やさしくしたつもり、
楽しませたつもり、
一生懸命やったつもり。
そんな「つもり」だけで、
大事にできず、傷つけてしまった日が、人達が、たくさんいるのかもしれない。
それじゃ、いけないのに。
ごめんなさい。
本当は、傷ついてしまった人に、ちょっとでも笑ってもらいたくて、
誰かを傷つけることでしか自分を保てない人が、自分自身に夢中になれるようなきっかけを作りたくて、
それで、書くことを続けようと思ったのに。
いつのまにか、わたしの生き方が、生き様が、誰かを攻撃したり、傷つけたりするようになってしまっていた。
だからだろう。
こないだ1年ぶりに実家に帰った時、友人に会いに行くことが、できなかった。
「時間がない」って言い訳をしたけれど、それは違う。
時間なんて作ればいくらだってある。
自分で、行かない、と、決めたんだ。
行けなかったんだ。
自信がなかったから。
合わせる顔がなかったから。
あなたが生きられなかった「それから」を、
わたしは、大切に生きています。
そう、手を合わせて伝えられる、自信が、なかったから。
そうだ。
彼女がいなくなってしまってから、わたしの人生は、大きく変わった。
しばらく受け入れられなかった。
自分の大事なものは、自分の手で守り続けなければ、失ってしまうということを、初めて知った。
だから、自分の生き方を、考え続けた。
何をすれば、後悔しないだろう。
どう生きれば、彼女に堂々と会いに行けるだろう。
どうしたら、彼女のように悲しい事件で命を落とす人がいなくなるだろうか。
答えのない答えを探し続けた。
何度も失敗して落ち込んでは、なんでわたしじゃなく彼女だったんだ、と、自分を責めた。
わたしには、何もない。
できることなんて、何もない。
そう思ってはまた立ち上がって挑戦し、「ちゃんと生きる」の意味を問い続けた。
そうやって出会ったのが「書くこと」だった。
自分が思うこと、出会ったものを、ことばにすることで、
誰かの経験や物語を、代わりに書くことで、
なにかを変えられるような気がした。
泣いていた人が、思わずプププって笑ったり、
誰かを攻撃することで自分を守ろうとしていた人が、自分に夢中になったり、
なんにもないわたしだけど、
なんもできないわたしだけど、
いろんな人と人をつなぐ「書くこと」であれば、それができるかもしれない。
そう、思った。
それからは、もっと速く、もっと上手くと、必死になった。夢中になった。
そうしているうちに、まだダメだ、これでも足りないと、自分に鞭打つようになった。
そうやって鬼の形相で走り続けるうちに、どこに向かっているのか、わからなくなってしまった。
何のために走っているのか、
どうして走り始めたのか。
そんなことも見えなくなってしまっていた。
「あの時は表情も違ったね」
友達からのLINEにハッとした。
そうか。そうだったのか。
見失ってしまっていることにすら、気づかなかった。
だけど、よかった。
友達がいてくれて、本当によかった。
いつだってそうだ。
迷子になった時、
下しか向けない時、
行くべき場所に手を引っ張ってってくれるのは、いつも友達だ。
そんな出会いに感謝をして、
いつまでも忘れちゃいけない。
裏切っちゃいけない。
二度と、悲しい理由で、失いたくない。
そのために。
変わるのは自分だ。
やわらかな強さを、こころに保つ。
軸を持って、書き続ける。
書くことには、生き様が出る。
そのためには、まっすぐに、しなやかに、穏やかに、自分を保って生きなければならない。
一度、失敗してよかった。
大切なことに気づけたから。
もう迷わない。
今度帰省するときは、自信を持って、あの子に会いに行くんだ。
ちゃんと生きてるよ。
相変わらず失敗ばかりでどうしようもないわたしだけど、
それでも。
それでも、あなたの生きられなかった「それから」を、精一杯生きています、って。
どうかこれからも、見守っていてくださいね、って。