本日はNew Year's Eve

30代OLが「書き手」になる夢を叶えるドキュメンタリー

なんのために生きるのか。それを自分で決めることができたら、きっと前を向いて生きていける。

「あなたにはせっかく素敵な友達がいるんだから」

 

ひさしぶりに連絡をとった妹からのメッセージに思わず、涙がこぼれた。

あぁ、そうだ。

本当にそうだ、と、心から思った。

 

「わたしが人生で誇りに思うことは、素敵な友達がたくさんいることです。自分には何もありませんが、いつも友達が助けてくれるので、とても充実した高校生活を送ることができました」

 

大学の受験の時。

「あなたが高校生活でがんばったこと、誇りに思うことはなんですか?」

 

そんな質問に、そう答えた。

 

本来なら「部活で優勝しました」とか「勉強頑張って全国何位に入りました」とか、そんなことを書くのかもしれない。

 

だけど、なんの取り柄もないわたしには、がんばったことも、誇りに思うこともない。

ただ、「がんばったこと」「誇りに思うこと」と聞いてすぐ思い浮かんだのは「友達づくり」、そして、その友達がとても素晴らしく誇りに思える人たちだということだった。

 

なんとも、スネ夫みたいな回答だ。

 

だけど、心の底からそう思ったし、わたしの高校生活は「友達」しかない。

彼らと出会えたことで、3年間とても充実していたし、どんなことがあってもがんばれたのは、みんながそれ以上に頑張る姿を、近くで見てきたからだ。

 

友達に会うこと。話すこと、遊ぶこと。

すべてがご褒美と思えるくらい嬉しかった。

 

それは、今でも変わってない。

 

お正月になれば30過ぎてもいつものメンバーで集まって、初詣に初日の出に繰り出していく。

早朝のコンビニでフレンチドックを頼んで揚げてもらって、高校生の時と変わらずにはしゃいでる。

誰かが結婚したり、こどもができたりすれば、この関係は変わると思っていた。

 

だけど。

 

そんなことは、なかった。

 

高校時代からの友人関係は、ずっと変わらなかった。

会えばものすごくエネルギーになるし、みんなが頑張っていると思えば、歯をくいしばることも、苦にならない。

不思議なほど、友達の存在が、わたしにとっては大きかった。

それくらい、大切で、大好きだった。

 

「あなたにはせっかく素敵な友達がいるんだから」

 

ひさしぶりに連絡をとった妹のことばに、ハッとした。

 

そうだ。そうだった。

わたしには素敵な友達がたくさんいる。

それなのに、この1年近く、友達を大切にできていなかった。

大人になれば、社会人になれば、そんなことは、当たり前なのかもしれない。

だけど、わたしの場合はそうじゃなかった。

 

どんどん苦しくなって、自分を見失っていった。

何をやっても楽しくないし、何をやっても、どうでもいいと思うようになった。

わたしにとったら、夢を叶える、とか、目標を達成するとか、そんなことと同じくらい「友達」の存在はエネルギーだった。

友達に会えない自分も、友達を大切にできない自分も、好きじゃなかった。

友達に会えないなら、友達に会う時間すらなくなってしまうなら、それは夢でも目標でも、なんでもなかった。

 

「くだらないけどさ、大事だよ」

 

先日ひさしぶりに会った友達が、そう呟いた。

 

「大事にしてほしいよ」

 

あぁ、そうだなぁ、わたしも大事にしたいなぁと思った。

そうでなければ、わたしの人生の意味がないなぁと、そんな思いがふつふつ湧いてきた。

友達に会うとか、遊びなんて、人生の余分な物のように思っていた。

だけど、違う。

わたしにとって、それは、人生の中心だった。

家族のために生きる人。

家族のために働く人。

そんな人はたくさんいる。

それとおんなしように、友達のために生きること。

友達に会える日を楽しみに仕事を頑張ること。

それだって、ひとつの、人生の価値観なんじゃ、ないだろうか。

 

「あなたにはせっかく素敵な友達がいるんだから」

 

そう言ってくれた妹も、実は、本当の妹じゃない。

彼女も、友達の1人だ。

周りに似ていると言われ、好きなものも笑うタイミングも一緒な彼女とわたしは、お互いに姉と妹と呼びあうようになった。

お互いのことを大事に思って、時には喧嘩することもあった。

だけど、大好きで仕方がなかった。

だから、わたしの地元の友達と遊ぶときにも、彼女を何度も呼んだ。

わたしの友人の結婚式の二次会に、ひとり来てくれた時は、本当に嬉しかった。

あぁ、本当に家族みたいだ。

そんな人に出会えるのは奇跡だし、そこまで友情を育めたことを褒めたかった。

何よりのご褒美は、彼女と友達関係が続き、時々でも会って、涙が出るほど笑って、元気をたくさんもらうことだった。

 

だけど、そんな彼女にもしばらく会えてなかった。

それどころか、仕事を理由に、彼女の結婚式に、出ることができなかった。

悲しかった。

悔しかった。

そんなの、わたしじゃない。

何よりも友達を大事に優先したいわたしなのに、心臓をちぎって破って捨てられるような思いだった。

いまだに後悔している。

どうして、なんとしてでも、行ってあげられなかったんだろうと。

 

「実家、大丈夫だった?」

ひさしぶりに、彼女から連絡がきた。

北海道の大きな地震を心配してくれていた。

妹と呼ぶくらいだ。

もちろんわたしの母にも会っている。

ずっと単身赴任をしていた父が帰ってきて、一緒にいることを伝えると、とても喜んでくれた。

 

結婚式の後、なんだか申し訳なくて、連絡をとることができなかった。

彼女もきっと、わたしのそんなめんどくささを知っている。

きっと億劫なのと、様子を見ておこうとそっとしておいてくれたんだと思う。

 

だけど、やっぱり妹だ。

心が折れそうなときに、連絡をくれ、そして、今必要なことに気づかせてくれた。

 

「あなたにはせっかく素敵な友達がいるんだから」

 

そうだ。

わたしには、それが、すべてだ。

そして、それ以上のしあわせも、いきがいもない。

 

そんな大切な友達に、堂々と会いに行ける。

変わらずくだらないことで笑いすぎて涙を流せる。

そんな自分で生きていこう。

本当に大切なことに気づけたとき、人はきっと強くなれる。

それ以外は気にならなくなるくらい、腹を据えて、前に向かうことが、できるはずだ。