本日はNew Year's Eve

30代OLが「書き手」になる夢を叶えるドキュメンタリー

怒っているのに気持ちがいいのは、なぜだろう。

植松さんは、ブログでいつも怒ってる。

見た目はとても穏やかなのに。

映像で見ると、とても朗らかなのに。

文字で読むと、いつも怒っている。

 

だけど。

嫌な気持ちにならないのは。

なんだか読んでて、イライラしたりしないのは。

 

きっとその植松さんの怒りは、

自分を守るための、

誰かを攻撃するための怒りではないからだ。

 

より良くなるための、

誰かを守るための、怒り。

傷ついている人の代わりに、怒っているんだ。

 

植松さんのブログは、ロックだ。

いつもそう思う。

だから、口調は怒っているのに。

時に辛辣な言葉が並んでいるのに。

それでもなんだか心があったかくなって、時に涙するほど嬉しくなるのは、

植松さんの綴る言葉が、その精神が、ロックだからだ。

 

ロックな大人はかっこいい。

強いだけのものに屈さない。

弱さを潰そうともしない。

ただ、自分の真ん中に軸を持って、芯を通して。

そこからぶれることなく。

熱を持って、スピードを持って、勢いを持って。

ただ進んでいく。

ものすごいエネルギーで、前に向かって進んでいく。

 

そんな大人に、なりたいと、いつも願う。

そうやって、自分も突き進みながらも、

下の世代を守っていける。

そんな大人になりたいと願いながら、

あぁ、すごいなぁ、ロックだなぁ、と目頭拭いながら、

今日も1日が、終わっていく。

 

「負けないよ。大丈夫だよ」

いつも思い出すのは、フィリピンを離れる時に、年下の友人がくれたプレゼント。

フィリピンの伝統的な武器のレプリカだった。

 

「あなたから強さを学んだ。だからわたしも、必ず強くなるよ。闘うよ」

時々、神様のお迎えを願う彼女に、わたしはいつも「もう少しだけ耐えて」と伝えていた。

もしかしたら、明日、1時間後、いや、5分後に楽しいことがあるかもしれない。

それなのに、これまでがんばったことを無駄にしたらもったいないよ! って。

ちゃんとご褒美もらってから力抜こうって。

時にまじめに、時にふざけて笑いながら。

彼女を応援し続けた。

 

日本に帰る場所のあるわたしと、

フィリピンで15人兄弟の長女として生まれた彼女。

 

明らかに、もっとがんばらなきゃいけないのは、わたしだった。

もう、十分すぎるほど耐えていたのは彼女だった。

 

だけど。

「頑張ろう。頑張ろう。もうすぐ、楽しいことが起こるよ。あとちょっと! できるできる!」

毎日毎日言い続けた。

 

そして、それを、わたしは後悔した。

 

彼女が「ありがとう」とくれたプレゼント。

これからはあなたがいなくても、1人で闘うよって、言ってくれた、プレゼント。

 

武器の、レプリカだった。

 

あぁ、違う。

これは、強さじゃない。

攻撃する強さは、本物じゃない。

弱いから、攻撃をして闘うんだ。

本当の強さは、その武器もろとも抱きしめても、傷つかない強さだ。

大丈夫だ、安心して、武器を手放そうと、抱きしめてあげられる、心と体の強さだ。

 

わたしは、弱いから、きっとフィリピンでひとり、必死で闘っていたんだ。

誰かに完全に心を許すことなく。

どこかで、いつ誰に騙されるかわからない、と、ビクビクしていた。

その弱さと不安を吹き飛ばすために、武器を振り回して、負けてなるもんか、と生きていたんだ。

 

そんなわたしの姿を見て、彼女は攻撃できる強さを覚えようと覚悟を決めていた。

 

だけど。

きっと、本当は、本当の強さは、誰かを信じることだ。

信じて、攻撃をしないことだ。

 

植松さんのような、強さだ。

 

植松さんは、いつも怒っている。

だけどそれは、武器を振り回すような怒りや攻撃とは違う。

今は弱い立場にいる人も、それぞれ必ず好きなことと、発揮できる力があると、信じている。

そしてきっと、同じ想いを持って、より良い方向に一緒に進んでくれる人がいると、信じている。

 

だから、その怒りは、特定の誰かを否定したり、攻撃したりする怒りじゃない。

 

自分は一緒にいるよ。

こんなことがあっても大丈夫だよ。

今はそんな間違ったことが起こっていたとしても、未来には必ずいいことがある。

そのことを伝えるために、怒っている。

ロックの魂で、叫んでいるんだ。

 

不安に怒りを乗せるのではなく、

前に進むためのエネルギーとしての怒り。

すごいなぁ。

そして、ありがたいなぁ、と思う。

「どうせ無理」と思いたくなっても、「だったら!」と前向きに切り替えることができる。

 

いつかこんな風に。

世の中の矛盾や理不尽や

いろんな切ないことを。

全部受け止めて、その上で、不安に震える若い人たちを、抱きしめあげられる大人になりたいなぁ、と、思う。

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