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本日はNew Year's Eve

30代OLが「書き手」になる夢を叶えるドキュメンタリー

オシャレな人達がカフェで書き物をしているので、オシャレなフリして行ってみた

代休の月曜の午後。

普段なら、後回しにしがちな家事を済ませ、

映画を観たり本を読んだりしながら部屋で過ごす。

だけど今日はなぜだか部屋では落ち着かない、

ふと思い立って外に出る。

もしかしたら、何かヒントが見つかるかもしれない。

 

住みたい街ランキング上位の人気の街。

土日は混雑するカフェも、今日は静かだ。

 

洗練された店内には、

落ち着いた音楽が流れる。

 

女性同士の静かな笑い声。

お皿を洗う音。

シューーーっというエスプレッソの音。

 

ゆっくりと本を読みながら、

いろいろと書くべきことに思いを巡らせる。

 

「ババエロ いやーん」

 

ふと頭の中にことばが浮かんだ。

 

昔住んでいた国の言葉。

フィリピンのことばだ。

 

現地のことばを話せると言うと

「え、すごいね!」

「めっちゃ頭いいね!」

と言われることが多いが、そんなことはない。

 

なぜなら、フィリピンのことばは、

面白いからだ。

面白すぎて、忘れられなくて覚えてしまうのだ。

 

「ババエロ いやーん」

 

ババ・エロ・いやーん?!

 

こんな言葉の組み合わせを、

忘れることができようか、

いや、わたしにはできない。

 

フィリピンのことばで、

ババエは女性を意味する。

どんなに美人でも、だ。

 

ババエの衝撃。

 

フィリピンのことばを勉強し始めて、

まず初めに衝撃を受けたことばだ。

 

美しく愛らしい存在の女性に、

「バ」の破裂音を二つも重ねる。

もっと、「ササ」とか「フフ」とか

色々な組み合わせがあったはずなのに、

なぜ「ババ」を重ねたのだろう。

 

もちろん、ババエは性別としての「女」を表すから、年齢は問わない。

生まれたての赤ちゃんも、

その子が女の子なら、

「ババエ」なのだ。

世界で一番美しい「ババエ」なのだ。

 

そして問題の「ババエロ」だ。

 

バ、ババエロ?! 

 

初めてそのことばを耳にしたとき、

思わず自分の耳を疑った。

まさかそんなことばがあるなんて。

 

「ババエロ」

それは、女好きな男を意味する。

 

女たらしは「ババエロ」

 

なんとも言い知れない不思議な可笑しさに包まれる。

ババとエロが好きな男は「ババエロ」

連想するだけで、もう忘れることはできない。

 

そして問題の、

「ババエロ いやーん」だ。

 

イヤンは、あれ。

英語でいう「that」を意味する。

 

これ、それ、あれ

this,  it, that

いと、いよん、いやん

 

「いやん」は、

あれ、あの人を指している。

 

強調する場合には、

「や」と「ん」の間を伸ばし、

「いやーん」と発音する。

 

つまり。

 

「ババエロ いやーん」は、

 

「女たらしだよ、あいつは!」

 

という意味になる。

 

 

なんとも、なんとも言えないこのかんじ。

日本人だからこそ楽しめるこのかんじ。

 

フィリピンのことばは、こんなことばがたくさんある。

日本語と似てそうでなんか違う。

一度聞くと忘れられない。

面白すぎて言いたくなる。

そんなことばがいっぱいだ。

 

だから、

「え、すごいね!」

「めっちゃ頭いいね!」

と褒められると、くすぐったくて仕方がない。

 

わたしにとっては、

全力でふざけているだけだからだ。

「何これ、ウケる!!」が重なって、

語彙が増えていった。

そしてその呪文を唱えると、

そのことばが伝わって友達が増えた。

面白がって現地のことばで話す外国人を、現地の人も面白がってくれた。

だからわたしはフィリピンのことばが大好きになって、どんどん単語を覚えた。

ビックリマンシールとか、キン消しを次々集めるように、知らない単語をどんどん自分のものにしていった。

 

もちろん最初からそうだったわけじゃない。

フィリピンのことば、

タガログ語」を勉強しなければならないと思った時、「絶対無理!」「絶対難しい!」と思っていた。

タガログ語」が得体の知れない化け物にでも感じていたからだろう。

「知らない」が、大きな壁になっていた。

「知らない」からものすごいことのように感じるし、自分にはできないと思ってしまう。

 だけど、知ってみると、

「知らない」と「実際」は随分違ったりもする。

 

「知らない」を「知りたい」に変えられたら、

毎日はもっと面白くなるのかもしれない。

 めんどくさいな、できないな、を、ワクワクに変換できるエネルギーをどう補給していくか。

そこが鍵になるのかもしれない。

 

「ババエロ いやーん」

女たらしのどうしようもない男を思い出したら、このことばを呟いてみてほしい。

 

きちんと、怒りの感情も込めて。

 

「バーバエロ、いやぁーん!!!」

 

世界には面白いことばがたくさんある。

面白がってみれば、難しいも笑いに変わる。

 

ーーパッポ パッポ パッポ パッポ

 

鳩時計が時を告げる。

随分と長居してしまった。

 

結局、オシャレなカフェにいながら、

ずっと頭の中はふざけ倒しいていた。

オシャレなところに身を置けば、

スタイリッシュなアイディアが沸くかと思ったら。

結局、どこにいてもわたしは変わらないのだ。

だったら、

わたし自身を面白がって生きるしかない。

 まだ「知らない」わたしを、もっと面白がってみようと思う。